2025年6月、テック業界を揺るがす衝撃的な報道がTechCrunchにより明らかになりました。
Meta社がリリースしたAIチャットアプリ「Meta AI」は、その高機能さとは裏腹に、“ユーザーのプライバシーが著しく危険にさらされている”として批判を浴びています。
この記事では、問題の本質と、私たちユーザーが今できることについて整理します。
🔍 何が問題なのか?
Meta AIには「Share(共有)」というボタンがあり、これを押すとチャットの内容が「Discoverフィード」と呼ばれる公開タイムラインに投稿される仕組みになっています。
しかし問題はその設計にありました。
- ユーザーの多くが「共有=保存」だと思っていた
- シェアボタンを押すと「一部公開されます」といった軽い文言が表示されるが、全世界に公開されるとは明記されていなかった
- 実際にDiscoverフィードには、「病気の相談」「法的トラブル」「性的な話題」など、非常にプライベートな内容が次々に表示されていた
まるで、「検索可能なブラウザ履歴をインターネット上にさらした」かのような事態が起きていたのです。
🧠 ユーザーの認識と実態のギャップ
ユーザーの多くは、Meta AIを「自分専用のAIアシスタント」として使っていました。たとえば:
- 「私の健康状態を説明すると…」
- 「これは誰にも言えないことなんだけど」
- 「税金対策について教えて」
といった発言が、実名やSNSハンドルとともにDiscoverフィードに掲載される例もありました。
Meta側はこれに対して、「シェア機能の使い方について改善中」と説明していますが、既に公開されてしまった内容が完全に消える保証はありません。
📦 なぜこんなことが起きるのか?
これは一種のダークパターン(誤認させるUI設計)と批判されています。
- ユーザーは「共有」=「保存」と解釈しがち
- ポップアップで“誰でも見られる”とはっきり言わない
- Instagram・Facebookとの連携で「実名アカウント」とチャット内容が紐づく
結果として、「共有するつもりがなかった情報まで、全世界に公開されてしまった」という事例が後を絶ちません。
✅ ユーザーが取るべき対策
この問題を受けて、私たちが今できる具体的な対策をまとめました。
対策 | 内容 |
---|---|
Meta AIにプライベートな内容は絶対に入力しない | 氏名・住所・病歴・法的情報などは入力NG |
「Share(共有)」ボタンは絶対に押さない | 押すとチャットがDiscoverに公開される |
チャット履歴の削除を定期的に行う | Meta AIアプリまたは設定から削除可能 |
公開設定・SNS連携を見直す | InstagramやFacebookの公開範囲も確認 |
学習への使用をオプトアウトする(可能なら) | 国・地域によって制限があります |
🔚 終わりに──“無料AI”の裏にある代償
Meta AIは確かに強力なAIですが、その裏では「ユーザーの会話をMetaが使うこと」を前提とした設計になっています。
無料で便利なAIを使えるという代償として、私たちのプライバシーが“商品”として使われている可能性があることを忘れてはいけません。
プライベートな話題は、信頼できる環境かローカルで処理できるツールで行うべきです。Meta AIのようなクラウド型AIに入力する前に、「この内容は他人に見られても問題ないか?という問いを、ひとつひとつ自分に投げかけることが求められています。