Oracle Database@Google Cloud、ついに日本上陸──クラウド移行とAI活用を加速するマルチクラウドの要石

Oracle Database@Google Cloud、ついに日本上陸──クラウド移行とAI活用を加速するマルチクラウドの要石

2025年6月13日、オラクルとGoogle Cloudは日本市場に向けて「Oracle Database@Google Cloud」の提供を正式に開始しました。これは、Google Cloudの東京リージョン(アジア北東1)において、オラクルのフル機能データベースサービスが、クラウドネイティブな形で利用可能となる歴史的な一歩です。

従来、Oracle Databaseは自社クラウド(OCI)やオンプレミス、もしくはライセンス持ち込み型のクラウドでの利用が一般的でしたが、今回の発表は、Oracleが自らのデータベースを第三者クラウド上で提供・運用する初の試みです。このことにより、日本国内のクラウド移行、データ主権の確保、AI活用が一層加速されることが期待されます。

目次

クラウドでも“フル機能のOracle”を

この新サービスでは、以下の先進的なOracleデータベースがGoogle Cloud上で利用可能です:

  • Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure
    最新のX11Mアーキテクチャを採用し、AI・分析・OLTP(オンライントランザクション処理)における高性能を実現。Real Application Clusters(RAC)にも対応。
  • Oracle Database 23ai
    JSONとリレーショナルを統合した「JSON Relational Duality Views」や、「Oracle AI Vector Search」など、AI時代を見据えた機能を300以上搭載。
  • Oracle Autonomous Database
    フルマネージド型のクラウドデータベースで、Google CloudのAPI・UIに完全統合。パフォーマンス、可用性、セキュリティのすべてにおいて高水準を提供。
  • Oracle Base Database Service(近日提供)
    軽量な仮想マシンベースのデータベース。19cや23aiなどを従量課金で利用可能。ローコード開発もサポート。

AIとクラウドネイティブ開発の融合

Oracle Database@Google Cloudは、GoogleのGeminiやVertex AIなどのAI基盤と統合可能であり、開発者にとってはクラウドネイティブなAIアプリケーション開発の出発点となります。

また、JSON×RDB統合、非構造データの検索、AI推論基盤との連携など、データ活用の可能性が大きく広がります。

パートナーエコシステムの再構築へ

OracleとGoogle Cloudは、再販プログラムの創設により、日本国内のSIerやクラウド事業者と連携し、企業のマルチクラウド導入を強力に支援します。Google Cloud Marketplace経由での提供が可能になり、導入・運用の敷居が大きく下がる点も魅力です。

株式会社システムサポートをはじめとする主要パートナーは、この環境を活かして、より柔軟なクラウド構成とデータソリューションの提供を目指しています。

今後の展開:グローバル対応へ

今回提供開始となったのは東京リージョンですが、今後12カ月以内に大阪(アジア北東2)、ムンバイ(アジア南1)など、複数リージョンでの展開が予定されています。これは、Oracleの「分散クラウド戦略」の一環であり、パブリック、プライベート、マルチクラウドを柔軟に組み合わせるポートフォリオ戦略が基盤となっています。

おわりに

「Oracle Database@Google Cloud」の登場により、日本の企業は“クラウドネイティブでありながら、Oracleの完全な機能性を享受できる”という新たな選択肢を手にしました。特に、AI活用、データレジデンシー、既存DB資産の活用に悩む企業にとっては、待望のソリューションとなるでしょう。

これからの日本におけるクラウド移行、AI統合の中核を担う存在として、この発表は今後の市場を左右する大きな転換点といえます。

参考文献

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